経済学の変遷を知るには、ちょうどよい本。
さて、今回も経済の本の紹介ですが、
なんと、前回紹介した本がまたこの記事で紹介することになりました。 ┐('д')┌
どんだけだよ
PHP出版から出た250ページぐらいの薄い本なので、さらっと読めます。
経済学の巨匠ハイエクとケインズを対比させながら、またその経済論争を簡単なモデルや比喩を使って初心者でもわかるように書いてあります。
ぼくは数学が得意じゃありませんから、経済本で数式とかグラフがたくさん出てくると、めまいがして、だんだん食欲が失せ、ゲンナリしてきてもう読む気ががくーんと下がるのですが、こういう物語り風に経済歴史を追っていく読み物はとてもサクサク読めて、一番重要な巨匠たちの理論の柱がスラスラ頭に入ってくるので、ほんとにおすすめです。
それでいて、哲学者でも思想家でも批判的で古典を乗り越えていくという時代を代表する経済学者たちの探究心や誇り高い精神の機微が描かれていて、一気に読めます。
ぼくは新自由主義者ではありませんが、左翼的な発想をする人々の、あのお花畑な発想を聞かされると、なんだかなー、、自動的に拒否反応を示します。
「そんな、君たちが思いついたことなんて、すでに先人たちが経験済みなんだよ。」
と。
だから、ぼくは現行の体制やもろもろの制度を批判しません、数々の争いやデカい戦争を経て、気骨のある人々が様々な活動を血と涙を流しながら勝ち取ってきた better な世界なんだ、と。
人権を勝ち獲ったフランス革命
資本家と労働者の対立激化からマルクス経済が成立、ロシア革命が起こる
失業者が溢れすぎた世を見ながら、熟慮に熟慮を重ねて至ったケインズ経済学
そういう血や飢えの時代を直に経験した天才たちが、膨大な論文を調べてこの世のなぞに挑んだわけで、
ルサンチマンなあなたたちに語れる言葉なんて何もないはずなんだ、と。
もちろん完全な世界にはかなり遠いわけだけど、これだけ人類の英知により少しづつと整えられてきた世界、結果が出ないならもう自分のせいだよ、と思っています。
そんなふうに、ぼくは左翼的な発想には与しません。
と同時に、左翼な人々から支持されるケインズに、偉大さも身に染みてよくわかります。(それがこの本がおすすめしたい理由)
それは、
流動性選好
です。
彼は数式やグラフをゴリゴリといじる経済学者ではありませんでした。
むしろ、人間というものへの理解がとても深く、そこから真理を探究する人でした。
「人々は何も買うものが無くても、そのままお金を手元に置いておこうとするものだ」
と彼は見抜いていました。
こんなの、庶民である、そしてデフレ日本に住む我々にとっては当然の感覚だろ、と思いますが、
これが当時の「経済学者」という普通ではない人々、合理的にモノを考える人々、数式やグラフにばかり向き合う人々の理解からスッポリ抜け落ちていたのですね。
しかしその中でも、ケインズは違いました。
しっかりと、その人間的側面を自分の「雇用・利子および貨幣の一般理論」に組み込んでいた。
……ということが、ケインズの死後、学説的に不可解なデフレ日本の事象を目の前に、世界からおおいに見直されたのでした。
人間味があるケインズ先生。
それを描いてくれていて、この本はおすすめです。
まあ筆者はリベラルを自認していますから、最後の提言の部分は?なので、
そこはすっ飛ばしてもらってかまいません。 ┐('д')┌
経済学の発展と、現状対立学説の共通項こそ、楽しく読むべき部分だと感じました。
やっぱり今のレベルに合わせて学習しないと、何も得られるものがありません。
まったく、勉強とはエンタメであるべきですよ。
お薦めの一冊です。
おわり。