知は力なり

ライフスタイル、変革してみせよう

国力とは何か  中野剛志

まとまった時間が一か月ほどとれましたので、これは読書三昧だなとニヤニヤしながら、そういえばZOZOの田端さんがTwitterでおすすめしていた本を、それをまとめた書評ブログが確かあったよなと思って、ググってみました。

 

LINEの田端信太郎さんがTwitterでおすすめしていたビジネス本17選+α | Coの世界

 

ヒャッホーと思って、マックス8冊まで貸出OKな市の図書館へ意気揚々と行ったら結果、、全滅。。

検索器探してもまったく引っかかりませんでした。

マジかよ。。 

 

市職員さんのキュレーション能力はいったいどうなってんだ。

 

やはり、

自分で自腹切って勉強しなさい、それが投資というものですよ、と天から声がした気がしました。

しょうがないから何か借りていこうとその場で適当にキーワードで検索して、目についたものを借りてきましたが、でもまあ読書は知のエンターテイメントです。

今日はその8冊の中の1冊を紹介。

 

国力の概念はWikiでググれば出てくるんですが、それは指標であって、ぼくが聞きたいのはそれらを生み出すものは何なのか?というところです。

で、それがどういう角度で論じられるのか、作者独自の視点はあるのか、未来への現実的な提言はあるのか、そこが気になってこの本を手に取りました。

著者の中野さん。

彼はYouTubeでも反グローバリストとして論壇に立つ人なのですが、アップされている動画のサムネにも、「グローバリゼーションをバッサリ切る」とか「TPP論者を論破!」というような過激な題が付いており、ちょっと煽り気味ではありますが彼のする議論は確かに筋が通っていて、非常に明快で、只者ではないな、とワクワクさせてくれます。

 

ぼくは、今時鎖国のような言説はどうなんだよ、と思っていましたが、中野さんはガッツリ保護主義派、規制しろ派です。

それは経済学者でも、数学系ではなく、国際関係論とか民俗学の人だからです。

 

実は、この人の「富国強兵ー地政経済学序説」という超分厚い本がありますが、これが歴史の勉強にはマジでおすすめで、本の中に引き込まれるので超分厚いのに一気に読めます。

今書店に並ぶ流行の地政学本というのは、販売数を伸ばすために大衆向けに書かれていて、どうもぼくクラスになると物足りないんですね。かと言ってゴリゴリの歴史書は言い回しや表現が硬くて読む気が失せるし、肝心の「だから何?」という主張が薄い。もっと本質的で内容が濃く、それでいて文章もわかりやすいエンタメの歴史の本ねーかな、と思っていたら、この「富国強兵」大アタリ。

 

中野本らしく主張が明確で、文献もしっかり明記してあり、論理の配列や、文章の書き方、布石打っといてあとで回収する構成など、一気に読める良書です。

それがあるから、ぼくは今回の「国力」」本を借りる時も、中野さんだからまあケインズ的な主張だろうけどハズレることはないなと、安心して借りたわけです。

 

そういえば、TPPについて国内で政治的議論が巻き起こったとき、彼もテレビに出演していて反TPPで論壇を張りましたが、そのトガったトークを展開してアナウンサーをしどろもどろさせていたのを思い出します。

nakano takeshi tokudane - YouTube

 

おそらくアレ一回きりで呼ばれなくなったでしょうねー。

口が悪いところが玉に瑕ではありますが、その議論はやはりさすがで、物事はいったいどうやって視るべきなのか、とても勉強になります。

 

「国力とは何か」も、相変わらず断定的な中野節がのっていて非常に爽快です。

おや、、中野さんの宣伝になってる。。。

 

ぼくは経済でも自由主義保護主義の対立する二冊の本を同時に読んで、一人ディスカッションにて交互に論破していく読書スタイルなので、いったい何が言いたいのか、各方面に気を使ったボヤッとした書き方をしている本より、こういう中野さんのような強めのメッセージが心地よいんですよね。

 

さて、内容としては、

国力の定義は専門家たちで様々あるでしょうが、

本書ではこれを「支配力」と「能力」の二つに分けて考えて、じゃあその能力をどう持つんだよという軸で論理が組み立てられています。

能力とは、「何かをするための力(power to)」で、経済的な生産力や知的な創造力というニュアンスですが、

これが国家になると人々を動員し、協働させることによって、何かを創造し、成し遂げるための社会的な能力(ソーシャル・キャパシティ)なんだ、

と言っているのです。

んーん、とても全体主義的ですね(ガクブル...('◇')ゞ)

本人はナショナリストを自称しています。

 

でも、この理解がなぜ「使えるか」というと、目的と手段が明確だからですね。

軍事、経済、文化力、科学技術、国際的発言力、などなど、んじゃあそれを支えているもんはいったい何なんだ、という根本に対する答える形になっているからです。

ここに中野さんの頭を使っている形跡が感じられるのです。

socialcapacityは、Pax Romana の崩壊を説明しているようにもみえますし。

 

これは、ネットで副業し始めたけど、稼げねーといってるやつにも言えることで、お金を稼ぐ、収入の基盤を作る、あわよくばそれで独立というのが、目的だったはずなのに、メルマガ、フェイスブック広告、課金サロン、という手段が自己目的化してるのんではぜんぜんダメ、ということなんですね。

自分の力の無さはいったいどこから来るんだ、という問いにこの歴史書、、、いや経済政策の本が答えてくれています。

 

 

おわり。