いま 世界の哲学者が 考えていること
学生時代は、「哲学」というものに若干不可思議な匂いを感じつつ、結局手を出しませんでした。
が、若い時のあのエネルギー時間好奇心がある時期を活用すればよかったなーと回顧しつつ、現在少しづつ手を付けているところです。
ぼくは歴史が好きでよく歴史書を読むんですが、哲学そのものの学術的な価値を解釈するというより、哲学史から入って歴史の流れを整理しながら学ぶと、かなり楽しめるということに気づきました。
ベーコン、デカルト、ルソー、、、
中学高校で習った偉人達。
具体的に何をしたか、の前にどいつが先に生きてたんだよ??というもっとも初歩的な疑問に自分は答えなければいけないんだと。
そうなると、バラバラのピースがつながって脳ミソが回転し始めます。難解な哲学理論はそのあとでいいじゃない。
哲学は過去の哲人たちの理論を基礎にして、それを「批判する」形で新説を構築を試みますから、カントのコペルニクス的転回を学んだ後に、デカルトの唯物的な理屈を学ぶ、というのは、これは確かに順番があべこべです。
歴史に金字塔を打ち立てたカントの偉大さが、残念ながらぼんやりしてしまう。
順番どおりに見ていけば、デカルトをクラシックとして、カントがそれを踏まえて「批判」書を書いたんだというのが正しい歴史のお勉強です。
そこからさらに踏み込むと、
今哲学者っているの?何してるの?おいしいの?
という疑問の答えも明確に知りたい。
だって今を生きてるんだもん。
コレデす。
ぼくは哲学に手を付けたいんだよなー、でもなんかとっかかりにくいんだよ。と感じるのはその全体像が見えないからだとわかりました。
哲学マップ的なものが欲しかったんだと。
そのうえで、この『いま 世界の哲学者が 考えていること』は、過去のカント以降の哲学の分岐を的確にした後、そこから現代の哲学者の哲学理論へと派生する流れを示し、彼らが今挑戦してる問題をていねいに解説してくれています。
ITとか、
資本主義とか、
宗教とか、
そういう現代にホットな話題から、人間の根幹を成す学問に及ぶまで広範囲に網羅して哲学してくれています。
そういえば、昔の哲学者の経歴を見てもらえばわかると思いますが、哲学者でありながら数学者で、政治理論家で、天文学者で、医者で、音楽家で、みたいな、
そういうあらゆることに興味を持ち問題意識を抱き考え続けた天才たちの集合体なんだ、哲学という領域とは。
昔は哲学もそういう諸々の学問をすべて含んで哲学(philosophy:知を愛する)してたわけですから、現代の天才たちも先輩たちの偉大さに挑むべく様々な分野を学際的に横断しながら真理を探究してるのも新鮮ですよ。
そういう意味では、薄く網羅的に書かれたこの本は、哲学入門には最適です。
おわり。